地味な映画と地味な音楽が好き。
マノエル・デ・オリヴェイラ『世界の始まりへの旅』、
ビクトル・エリセ『マルメロの陽光』が好き。
文系家人と11歳と8歳の女の子2人、シャルトリューの男の子とひっそり暮らし中。


『秋日和(Late Autumn)』(小津安二郎/1960/松竹)

小津映画で原節子が初めて母親役を演じた作品。嫁入り前の娘(司葉子)の嫁入り話に気をもむ母の役なんだけど、『晩春』(1949)の父(笠智衆)と娘(原節子)の話と設定は違えど似てる話。母娘の映画のせいか、じんわり深く心に染み入ってしまい、司葉子じゃなく原節子に感情移入してホロリとしました。小津映画も、関係ないけどやまだ紫も作品に触れる時期て大事だねー。20くらいのときに見たら司葉子に感情移入したかな、つまんない映画だと思ったかな。小津映画は見た作品についてはどれも好きだけど、この『秋日和』のように"感傷的に泣ける"作品は少ないので、かなり女性寄りな作品だと思います。旅先での母娘の会話が感傷の頂点。「しあわせになってね」様々な想いを含んだ母から娘への言葉。ラストのアパートにひとり残された原節子の表情。うまいなー、やわらかい雰囲気の優しい母親を演じた原節子が上手。いわゆる小津映画ファンはあまり好きじゃないのかもしれないけど私は好き。


秋日和 [DVD]

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宮川一夫と組んだ『浮草』(1959)見たのがまだ鮮明なせいか、この『秋日和』もやたら画面に赤があって目につきます。前年に組んだ宮川一夫の影響なのかな、カメラマンが違うのに赤赤赤…。小津安二郎のセンスの一環として赤が取り組まれた感じ。

浮草 [DVD]

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この映画について金井美恵子がパール入りのシルバーのマニュキュアを塗った原節子の爪の異様さについて書いてるそうで、確かに私もそのシーンを見て「あの爪なに?」とびっくりしたので金井美恵子のこの映画批評を読んでみたくなりました。ちなみに母娘でこぢんまり暮らすアパートで原節子が着ている着物(浦野理一の着物なんだって)は、ものすごーく高い着物らしくどう考えても生活と不釣り合いらしいのだけど私は着物に詳しくなくて分かりませんでした。

おもしろいなーいろいろつながって思考が飛んでいく、こういうことでおもしろがってる時間ていいな。

愉しみはTVの彼方に―IMITATION OF CINEMA

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