『娘・妻・母』(成瀬巳喜男/1960/東宝)
原節子に高峰秀子の名前だけで見たくなる作品。ほかにも森雅之に仲代達矢、杉村春子と豪華キャスト。さりげなくラストに登場する笠智衆がまたいい役どころ。めずらしく中流以上の家庭を描く作品だけど、見ていてつらくなるくらいお金、お金といやらしく絡み、嫁や姑の問題、なんやかやと問題がめじろ押し、様々な立場の女の生き方を描く得意の物語。成瀬映画にはふってわいてくるようなお金はなくて、何で生計たててるのかわからないようなぼんやりした登場人物は存在しない。綿密で土台のしっかりしたリアリティある設定が単なるドラマではなく映画として成り立たせる。ちょっと思うのは原節子もいまいちパッとしない役でさらに高峰秀子も相当パッとしない役で残念。劇中出てくるホームドラマの映像が妙にうますぎで面白い。
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