地味な映画と地味な音楽が好き。
マノエル・デ・オリヴェイラ『世界の始まりへの旅』、
ビクトル・エリセ『マルメロの陽光』が好き。
文系家人と11歳と8歳の女の子2人、シャルトリューの男の子とひっそり暮らし中。


『鰯雲』(成瀬巳喜男/1958/東宝)

カラーワイド版(成瀬のはじめてのカラー作品らしい)でロケが多いので、白黒成瀬映画に慣れていると正直カラーワイドに関してはあまり成功しているような気がしない。戦後農家の旧世代・新世代の考えの違いや、農業離れの実態、恋愛の自由化、いろんな要素に加え登場人物の多さと複雑な血縁関係(近親結婚じゃない?と疑問に思う点があるのだけどそのあたりはなぞ)で130分充実のつめこみぷり。伝統やしきたりにこだわる父、それに反発する子どもたち、戦争未亡人の父の妹の不倫、戦後の新しい風が農家にも吹き荒れる様子を描くのだけど、中村鴈治郎淡島千景新珠三千代小林桂樹加東大介杉村春子のそうそうたる顔ぶれで冴えた映画になるなー。なかでもやっぱり中村鴈治郎がうますぎる。「お金」絡みではあるけれど、いわゆるダメ男やダメ男に引っ張られる女が出て云々という成瀬得意の物語ではないのだけど、淡島千景が不倫関係に陥るシーンでは得意分野なせいか妙にそこだけねっとりしていていい感じ。成瀬版社会派ドラマ。