地味な映画と地味な音楽が好き。
マノエル・デ・オリヴェイラ『世界の始まりへの旅』、
ビクトル・エリセ『マルメロの陽光』が好き。
文系家人と11歳と8歳の女の子2人、シャルトリューの男の子とひっそり暮らし中。


『清作の妻』(増村保造/1965/大映)

日露戦争という時代を舞台にした、男と女のどろどろ純愛物語。狂気に満ち、思わず目をそらしたくなる恐怖すら覚えるこの憎愛劇はおそらく増村保造の真骨頂?色気もすごいけど、徹底的に天涯孤独のお兼になりきった若尾文子がすごい。愛する人を肉体的に傷つける若尾文子の気の狂い方は同じ女として悲しくなる感情の表面化。テンポもよく時折シーンが外国映画のようで、1965年製作にもかかわらず映像的な古さはまったく感じない。愛するが故の葛藤、壮絶な愛情と憎悪から生まれる許しや受容。愛欲。男と女の極限の愛。これを美しいと言わずに何を美しいと思うか。

清作の妻 [DVD]

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