地味な映画と地味な音楽が好き。
マノエル・デ・オリヴェイラ『世界の始まりへの旅』、
ビクトル・エリセ『マルメロの陽光』が好き。
文系家人と11歳と8歳の女の子2人、シャルトリューの男の子とひっそり暮らし中。


『赤線地帯』(溝口健二/1956/大映)

溝口健二の88作目にして遺作。東京・吉原の売春宿「夢の里」を舞台にした群像劇。様々な事情をかかえた女たち。『祇園囃子』とはうってかわって、売れっ子ナンバーワンの若尾文子は色っぽく美しくしたたかになり、失業中のダメ夫と赤ん坊をかかえた木暮実千代は演技で生活感を出すという域に達しているすごい女優さんなんだと再確認。彼女らだけでなく"吉原の女"になりきった三益愛子京マチ子もみなが相乗効果ですばらしい。黛敏郎の妖怪風音楽はまあ面白いけれど(クラヴィオリンという電気楽器を使用しているらしい)作品とあっているかといわれるとどうかと思う。早坂文雄には到底かなわないことだけは確か。