スタニスワフ・レム『ソラリスの陽のもとに』
Eテレのソラリスの回から、家人が持ってた原作が手元にありながら、なかなか読めないまま年を越し、3日くらいかけて読み終わりました。思えばタルコフスキーの映画を見たのが20年くらい前、20年後に原作を読むとは……(しみじみ) 家人の持ってる原作の表紙はまさにタルコフスキーの映画のシーンのひとつ。スタニスワフ・レムの執筆が1960年、タルコフスキーが映画化したのが1972年、この文庫の発行が1977年。
半世紀以上昔のSFが古く感じないところがすごい。SFだけど人間ドラマでもあるのでとっつきにくさはそれほどありません。惑星ソラリスにある、知的生命体と思われるソラリスの海との接触。ソラリスの海が引き起こす人間の深部にある抑圧された記憶やトラウマを、それぞれの人間に<客>として出現させ、その<客>と離れられない宇宙ステーション内の閉鎖的空間で精神が侵されていくという、自分とは、他者とは、人間の存在自体も問うゾワゾワする物語。
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NHK Eテレ -100分 de 名著 スタニスワフ・レム「ソラリス」全4回
『ソラリスの陽のもとに』を紹介したEテレ「100分 de 名著」の全4回。
映画はタルコフスキー版もさらにタルコフスキーのリメイク版も見たような気がするんだけど、これが案外記憶がなく…。「100分 de 名著」でソラリスを放送すると知ったとき、タルコフスキーの断片的な記憶の映画を思い出して見てみました。本は未読。
タルコフスキーの映像の紹介や、ラストシーンの解釈が原作と違う云々、本を読みたくなるよい番組。タルコフスキーもまた見たい。家人の所有で『ソラリスの陽のもとに』が家にもあったので近いうちに読んでみようと思うものの、「おもしろいけど何いってるのかわからないところが多くて時間がかかる」と言うのでただいま後回し状態。私はすぐ安易な方にいくのでたまにはチャレンジせねば。
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小学4年生:国語辞典
保育園卒園時に保育園からいただいた小学生国語辞典があって、長女はそれを3年生まで使ってたんだけど(次女ももらったけど1年生はまだ使わないみたい)、4年生になってから言葉の意味を調べるという学校の宿題で、載ってない言葉がある、と何度か聞いたので普通の新明解国語辞典を買っていまはそれを使っています。
小学生国語辞典て思うより使う期間が短いのかな。
新明解国語辞典第7版 [ 山田忠雄(国語学) ] |
きっかけをつかむと投入したくなる母としては「漢検の勉強するときはコレが役にたっておもしろくてさ~」と新明解の横に新字源を置いてみたりしたけど、まだ自主的に開かれる様子はありません。まだ早いか?
角川新字源 改訂新版 [ 小川 環樹 ] |
『聖の青春』(森義隆/2016)
聖の青春 [ 松山ケンイチ ] |
29歳の若さで亡くなった天才棋士、村山聖の生涯。松ケンのなりきり村山聖と東出昌大のなりきり羽生善治に注目。WOWOWのW座で見たんだけど、イラストレーターの信濃八太郎のコメントがとても素直でよかった。幼い頃から病院食ばかりだった村山聖が、大阪に出てきて関西将棋会館の近くの定食屋で食べたふつうの焼き魚定食がものすごくおしいくて、吉野家の牛丼にたどり着いたくだりで原作まで読みたくなった。さすが広告関係。
将棋雑誌編集長・橋口陽二を演じてる人が好みだわーと思ってたら筒井道隆でした。わからなかったー。つくづくああいう小山薫堂的外見が好きなんやな……。
聖の青春 (角川文庫) [ 大崎善生 ] |
NHKドキュメント72時間「京都 静かすぎる図書館」
京都・左京区、私語厳禁の図書館「私設図書館」が舞台。
少し前に東京にある私語厳禁なカフェが話題になったときあんまりピンとこなかったんだけど、この「私設図書館」を見てたらもーぜんぜん意識かわりました。オシャレとかではないリアルな感じがまたいい。いい大人も学生さんもこんな場所で勉強とかうらやましい。この場所を必要とする人々がたくさんいるのはよくわかる。
壺井栄『二十四の瞳』を読んで泣く
木下恵介の映画『二十四の瞳』(1954/松竹大船)が好きで好きで、でも実は壺井栄の原作を読んだことがありませんでした。4年生長女の青い鳥文庫『二十四の瞳』を読んだら、脳内映画再生されて泣けて泣けて歳をとって涙もろさに拍車がかかっている模様。
長女はまだ半分くらい読んだところでおなご先生の楽しいところ。後半は戦争色が強くなります。「待ち受けているものが戦争でしかないとすれば、人は何のために子を産み、愛し、育てるのだろう」という大石先生のつぶやきが、いまはわからなくても成長して考えられるようになるといいなー
二十四の瞳新装版 (講談社青い鳥文庫) [ 壷井栄 ] |
大石先生は高峰秀子でしか思い描けず、親に内緒で先生の家がある一本松まで行った子供たちが先生といっしょに記念に撮った写真のシーンで、ラストと結びついてすでに泣けるという涙もろさ。
時代が違うとはいえ、戦争で生活が窮迫して苦労を重ねていたとしても、ふたたび教職に戻ろうとする大石先生が40歳で、「四十じゃあね。現職にいても老朽でやめてもらうところじゃないか。」の言葉はなかなか身につまされます…… しかし本を読んで、成長した子どもたちに囲まれ涙を流す大石先生が40代だったことに驚き。そういえば大石先生の子どもはまだそんなに大きくなかったかなあ。
木下惠介生誕100年::二十四の瞳 [ 高峰秀子 ] |
シトロエンのガソリンミュージックと「お腹にいたときの音」と『SONGS』の小沢健二
仕事が忙しいと、帰り道に聞く音楽はとても歌モノを聞く気持ちになれなくて、ログズギャラリーのガソリンミュージックをエンドレス再生して聞いたりしています(国立国際美術館でのログズギャラリーの夜は予想を超えて私の中に浸透)。
先日、ドキュメント72時間『それでもバイクで走る理由』を見ていたら、お父さんのバイクに乗ると眠たくなる8歳の女の子が登場して、眠たくなる理由を「お母さんのお腹にいたときの音がするから」と言っていました。あーそれはそうかも、私の感覚に近いかも、とひそかに感動。妊娠中に胎児の様子をチェックするNSTの機械音を思い出したり、単なるエンジン音でなくて、心地よさを感じるガソリンミュージックに思いをはせたりしてひとり盛り上がり。
『SONGS』の小沢健二も予想を超えてよかった番組。思わず録画を二度見。小沢健二のスペシャルステージという形で、歌と歌の間にはさまれる朗読もよかった。いいものを見るとニコニコしてきます。
江戸時代の食事くらいがよい
食べ物を扱う時代小説ばっかり読んでると、江戸時代の食事事情が垣間見られて楽しいです。
お江戸では朝に一日分のご飯を炊くけれど、大阪の商家ではお昼に一日分のご飯を炊き、野菜や魚を炊いたものと食べ、晩は茶漬けとお新香、翌朝は茶粥などでいただいたそうです。なんやかやと作りながら、家での食事ならそのくらいの食事でいいなあ、と本気で思います。