スタニスワフ・レム『ソラリスの陽のもとに』
Eテレのソラリスの回から、家人が持ってた原作が手元にありながら、なかなか読めないまま年を越し、3日くらいかけて読み終わりました。思えばタルコフスキーの映画を見たのが20年くらい前、20年後に原作を読むとは……(しみじみ) 家人の持ってる原作の表紙はまさにタルコフスキーの映画のシーンのひとつ。スタニスワフ・レムの執筆が1960年、タルコフスキーが映画化したのが1972年、この文庫の発行が1977年。
半世紀以上昔のSFが古く感じないところがすごい。SFだけど人間ドラマでもあるのでとっつきにくさはそれほどありません。惑星ソラリスにある、知的生命体と思われるソラリスの海との接触。ソラリスの海が引き起こす人間の深部にある抑圧された記憶やトラウマを、それぞれの人間に<客>として出現させ、その<客>と離れられない宇宙ステーション内の閉鎖的空間で精神が侵されていくという、自分とは、他者とは、人間の存在自体も問うゾワゾワする物語。
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