地味な映画と地味な音楽が好き。
マノエル・デ・オリヴェイラ『世界の始まりへの旅』、
ビクトル・エリセ『マルメロの陽光』が好き。
文系家人と11歳と8歳の女の子2人、シャルトリューの男の子とひっそり暮らし中。


『ルドルフ 赤鼻のトナカイ(Rudolph,the red-nosed reindeer)』(長島喜三、ラリー・レーマ/1964/アメリカ)


チェブラーシカやミトンに通じるアメリカ発パペットアニメーション。アメリカ発ではあるけれど日本における人形アニメーションの第一人者、日本で最初の人形アニメーションを製作した持永只仁を中心にした日本人スタッフでかためられています。1958年、持永只仁は「ちびくろさんぼのとらたいじ」で第1回バンクーバー国際映画祭・児童映画部門でグランプリを受賞していて当時子供番組の名プロデューサーだったアーサー・ランキン.Jrの目にとまったせいです。話はクリスマスタウンで生まれたトナカイのルドルフは生まれつきのピカピカ光る赤い鼻のせいでサンタさんにも見放され(!)みんなからも仲間はずれにされてしまうというところからはじまります。外見がまわりと違うせいでいじめられるというのはディズニーの「ダンボ」(1941)ほどじゃないにしろ人種差別に通じアメリカらしいといえばアメリカらしいわりと極端な話です。歌と同じくルドルフのピカピカする鼻のおかげで暗闇を走ることができたという一見円満なハッピーエンドだけど、自分の周りと違う外見を認めてそれを自らの力で個性として活かすのはこれはなかなかポジティヴすぎてむずかしいことです。アニメーション自体は日本人制作らしくかわいらしいけれど、こういったメッセージ性が妙に浮きだっている気がして少し残念な気がしました。(「ダンボ」はつまりはそういう話なので評価が高いのだと思います)