地味な映画と地味な音楽が好き。
マノエル・デ・オリヴェイラ『世界の始まりへの旅』、
ビクトル・エリセ『マルメロの陽光』が好き。
文系家人と11歳と8歳の女の子2人、シャルトリューの男の子とひっそり暮らし中。


『あにいもうと』(成瀬巳喜男/1953/大映)

グラマラスな肉体派・京マチ子。そもそも外観がすでにエロいので浴衣をはだけてぐったり寝ている冒頭の姿でスレた役どころにすっかりはまる。うちわで蚊をはらったり、足首をかいたりする何気ないネコみたいな京マチ子のやわらかい仕草と、久我美子のお堅い動きの対比が面白いし、上手。単なる兄妹愛というより微妙な心情の愛情を描く。家族みんなでほおばる巨大なぼたもちがおいしそう。久我美子を見て溝口健二『噂の女』のモダンな娘役や同じく溝口健二新・平家物語』の可憐な娘役を思い出してなんだか印象深い女優さんだなーと思ったのだけど、当の久我美子の印象というか、久我美子を女優としてその役として印象深く引き上げた監督の技なのかも、とあとから思った。『稲妻』と同じく歩いていく後ろ姿で終わるラストが気持ちのいい余韻を残す。オンナは強い。


あにいもうと [DVD]

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