地味な映画と地味な音楽が好き。
マノエル・デ・オリヴェイラ『世界の始まりへの旅』、
ビクトル・エリセ『マルメロの陽光』が好き。
文系家人と11歳と8歳の女の子2人、シャルトリューの男の子とひっそり暮らし中。


漢検生涯学習ネットワークという漢字サークル

漢検1級・準1級合格者に送付されてくる漢検ジャーナルと会員証。2月に受けた漢検で家人が準1級に合格したのですこし前に家人宛に送られてきました。漢検1級・準1級合格者が交流できるイベントがあるんだねー



中に10級から1級のテストがあったので、ハムコ(10級の読みまで)→ミニチム(6,7級の読みくらいまでを少々)→私(2級まで)→家人(準1級と1級)という順番でやってみました。2級間違えとるがな私。漢字て書いてないと忘れるわー



chim.hatenablog.com

『さらば、愛の言葉よ(Adieu au langage)』(ジャン=リュック・ゴダール/2014/フランス)



アブラカタブラ、毛沢東ゲバラ


ゴダール初の3D長編映画。残念ながら3Dで見てなくて、2Dでの観賞は別物になってたかもしれません。でもこれ映画館で3Dで見てたら最高だったかも。どういう状態のイッちゃってる立体視だったのか気になります。Adieu au langage=さらば、言葉よ、というわりには引用につぐ引用、ストーリー性のないブツ切れ映像を脈絡なく(ないように見える)つなぎ合わせ、言葉を追いかけるのと目に入るその情報量と補完作業は膨大でこれがなかなか必死。圧倒的に流れてるもののほうが多いし、補完できるはずがないのに、必死さに陶酔してくるとゴダール映画見てる!と実感したりして。斜めに傾き手ブレの激しい画面、露光の大きいカット、男女の部屋のテレビに映る映画、小説や哲学の朗読、そこはもう現実とはかけ離れた世界。現実の世界に”逃避する”しかない、ということ。細部にわたるまでゴダール!としかいいようのない作品で、83歳にしてこの感性に驚嘆。



「あの頃が一番よかった」とデローリエが言った


この一説は何の引用かと調べたらフローベールの「感情教育」という小説のラスト。フローベルも読んでない私……。ゴダールを見てる最中はちょっと興奮しているのに、あとでちょっと調べたりすると知らな過ぎる自分にがっかりするというこれもデフォ。

法律を勉強するため上京した十八歳の青年フレデリックは、帰郷の途上、セーヌ河をゆく船の上で美しき人妻に心奪われる。やがてパリ暮らしを再開した彼は、一途に人妻を想いながら、夫の経営する新聞社や社交界に出入りをするようになる…。革命前後のパリで生きる夢見がちな青年と、彼をとりまく四人の女の物語。

感情教育(上) [ フローベール ]
価格:1447円(税込、送料無料)


今日の晩ごはんはおむすび焼き鳥枝豆

大人になってから読む『美味しんぼ』がおもしろい。今日「おむすび対決」が収められている82巻を読んでて、今日の晩ごはんはおむすびや!となって、同巻にある日本酒の熱燗についての回にあった焼き鳥がおいしそうだったので焼き鳥も。こういう健全な晩ごはんの決まり方はたのしいなー(マンガに出てくる美味しんぼ仕様の手間のかかるおむすびは作れないけど)


美味しんぼ(82) [ 雁屋哲 ]
価格:545円(税込、送料無料)



日本酒の熱燗についての回に登場したお酒がなかなかそそります。すばらしい薫りで熟成した果物みたい!と評された食前酒、太冠酒造の純米大吟醸甲州利右衛門』。刺身の繊細なうまみとあわせ42度のゆるめの燗にした、萬屋醸造「春鴬囀」の純米酒『鷹座巣』。買っちゃう?なんて思いつつ『美味しんぼ』を楽しめるようになったのがまた楽しい。




気がはやい夏休みの自由研究の研究

なかなかぜんぶをひとりで出来ないのでつい手を出してしまう夏休みの自由研究。私はといえば、工作は父がはりきってやってくれてたけど、自由研究てどうだったかな、とあんまり覚えてないのでした。すぐ忘れるタイプや。どんな自由研究がすばらしいのかなと思って検索すると、算数・数学の自由研究作品の過去の受賞作品を掲載している一般財団法人理数教育研究所Rimse(リムス)がヒット。


www.rimse.or.jp


最優秀賞を受賞している洛南小学校1年『きみはどっち? ぼくはこっち!』に感心。すばらしいなー!おもしろいし!最終審査残りまくりの洛南小学校は学校全体で提出する感じなんやろか。さすが洛南。


しかし身近なところからの発展ていうのは逆にむずかしいよなー……

年長ハムコ:『ジャックと豆の木』がこわい

ハムコはこわがりで夜もひとりで寝れないタイプ。スーパーでうっかりひとりになっても(ただしくは私や姉のミニチムを見失っても)こわい。すぐ泣く。「とと姉ちゃん」は怒鳴ったり怒ったりしてるシーンが多いけど、それもダメ(これは泣かないけど目をそむけて耳をふさぐ)。で、先日『ジャックと豆の木』もこわいことに気付きました。大男がこわいらしいです。えー 繊細すぎる……


さっき「しょうがっこうはべんきょうばっかでしょー」と口をとがらせてました。そっち方面もしんぱい。最近ハムコはクリスマスやお正月が何月か知らないことを知りました。知ってるのは自分の誕生日月のみ。たぶんいまが何月かも知らない。何曜日かもあやうい。やばい。



ジャックと豆の木 [ ジョン・シェリ ]
価格:1512円(税込、送料無料)


歴史がたのしい

平安時代から三国志に飛んで、三国志から日本の戦国時代に飛んで、ふらふら歴史番組を見てるのがたのしいこの頃。というわけで録った映画はなかなか見れません。学生時代にまじめに日本史や世界史をやらなかったのが悔やまれる。こんなに楽しいのになぜ地理専攻だったのか。毎週見づづけないといけないような『真田丸』は見てなくて、おもしろそうな特集をかいつまんで見る専門。


先日のNHK『英雄たちの選択』秀吉VS.家康スペシャル 第1集「小牧・長久手の戦い」特集。秀吉派と家康派と分かれて議論しあう歴史好きたちがたのしそうでとてもよいです。第2集もたのしみ。司会の磯田道史が司会なのにゲストの話をごっそり持っていって持論を展開する様もたのしい。享保の改革の最中に虎の皮の羽織を着て反発した尾張のお殿様・徳川宗春のかぶきっぷりがたのしかった、同番組の「すべては民のために!“名君”徳川宗春の挑戦」の特集もよかった。


大人向けの番組はだいたいひとりで見てるけど、子どもも見れそうな番組は子どもたちも一緒に見てて、新撰組を見てからミニチムが「御用改めー!手向かいいたすと容赦なく斬り捨てる!」という台詞が気に入ってやたらと言ってます。沖田総司の剣さばきとか。小三で腐女子や。

岸 政彦『断片的なものの社会学』のなかから

断片的なものの社会学 [ 岸政彦 ]
価格:1684円(税込、送料無料)



路上生活者や風俗嬢、様々なひとにインタビューして逡巡した「断片的な」話がちりばめられた社会学の本。おもしろかったです。


ある地方議会でのセクハラヤジの話。男性議員からのヤジにその女性議員がかすかに笑ったことに対する違和感。

なにかに傷ついたとき、なにかに傷つけられたとき、人はまず、黙り込む。ぐっと我慢をして、耐える。あるいは、反射的に怒る。怒鳴ったり、言い返したり、睨んだりする。時には手が出てしまうこともある。

しかし、笑うこともできる。

辛いときの反射的な笑いも、当事者によってネタにされた自虐的な笑いも、どちらも私は、人間の自由というもの、そのものだと思う。人間の自由は、無限の可能性や、かけがえのない自己実現などといったお題目とは関係がない。それは、そういう大きな、勇ましい物語のなかにはない。

少なくとも私たちには、もっとも辛いそのときに、笑う自由がある。もっとも辛い状況のまっただ中でさえ、そこに縛られない自由がある。人が自由である、ということは、選択肢がたくさんあるとか、可能性がたくさんあるとか、そういうことではない。ギリギリまで切り詰められた現実の果てで、もうひとつだけ何かが残されて、そこにある。それが自由というものだ。

ある種の笑いというものは、心のいちばん奥にある暗い穴のようなもので、なにかあると私たちはそこに逃げ込んで、外の世界の嵐をやりすごす。そうやって私たちは、バランスを取って、かろうじて生きている。


自分に向けられた不測の事態に、反射的に笑ってしまう。私はこのタイプで、あとでなぜ即座に反撃に転じなかったのかと後悔したりする。このこと(この違和感)について、こんなに的確に最適な文字で見たことが衝撃。逃げ場とバランス。あまりに腑に落ちた。

POPEYEの「僕の好きな映画。」特集をめくってみる

POPEYE(ポパイ) 2015年 06 月号 [雑誌]

POPEYE(ポパイ) 2015年 06 月号 [雑誌]

SPECIAL 『ポパイ』6月号は「僕の好きな映画。」特集。 さぁ、いますぐ映画を1本観ようじゃないか。 | ポパイ (POPEYE) マガジンワールド


ちょうど1年前の『ポパイ』6月号「僕の好きな映画。」特集をぱらぱら。


見ようと見ようと思いつつ見れてないテオ・アンゲロプロス『エレニの帰郷』(2008)やジャン=リュック・ゴダール『さらば、愛の言葉よ』(2014)の録画を放置しているのはそれなりに映画に向き合う気力が必要だと逃げ腰だからです。マノエル・ド・オリヴェイラみたいな方向ならすぐ見ちゃうんだけどなー


いまになってこういう特集を読むとテキスト的にじゃなくて、こう、適当に読めてなかなかたのしいです。蛭子さんの紹介してる勅使河原宏砂の女』(1964)や、あーフェリーニフェリーニのローマ』(1972)は見てないな見たいなーとか、唯一の1本の紹介でスピルバーグ『激突!』(1971)を持ってきて「ミュートでも大体わかる」とか、さらに唯一の1本で『男はつらいよ』を持ってくる境地だとか、あ、私木下恵介『永遠の人』(1961)見逃してる!とか、ちまちまといろいろ思うのがたのしい。一生懸命読みこまない感じがたのしい。


なかなか見る時間も限られるおかーさんだけど、『砂の女』のBlu-rayは欲しいなー 





『海街diary』(是枝裕和/2015)



テレビでやってた『海街diary』。意外によかったです。四姉妹は綾瀬はるか長澤まさみ夏帆広瀬すず長澤まさみのスタイルがよすぎる。足ながーーーい。


『誰も知らない』(2004)のときから得意のあの淡々とした是枝監督の画面構成は、あー昔の日本の良き映画が好きなんやろなーという安心のスタイル。是枝監督は『ワンダフルライフ』(1999)も良いし、弟子のような存在の西川美和監督も良いです。


原作である漫画に忠実で、ストーリーもわかってるのにおもしろく見られました。姉妹が浴衣を着て花火をするシーン、千佳ちゃん役の夏帆の浴衣があれミナペルホネン?という現実への引き戻され方をしたのがちょっともったいない。ブランドの分かりやすいテキスタイルとかはこういう映画に不要かなー



またもネット上での感想を見てたらこれまた賛否両論。悪く書く人は演出やセリフがベタなこと、盛り上がり欠ける、何も起こらない、などなど、人気女優を使った人気作品ゆえのがっかり批評。しかしこの映画で「何も起こらない」と書く人は主演女優陣からして恋愛の悲喜こもごもとかを期待してたんやろか。ペドロ・コスタヴァンダの部屋』(2000)とか見たら何を思うんやろ。固定カメラの3時間にやっぱり「何も起こらない」とだけ思うんかしら、とつらつら考え中。



海街diary(7) [ 吉田秋生 ]
価格:588円(税込、送料無料)


菅田将暉、野村周平、吉沢亮主演『男子高校生の日常』(松居大悟/2013)



菅田将暉が見たくて、この映画がなんなのかも知らずに夜中にぼんやり見たらおもしろかった。モテない男子高校生3人の日常ぐだぐだ話。ギャク漫画→アニメ化→映画化、という流れの人気作品なんだって。漫画もアニメも知らずに映画のみ見た感想としては、冒頭部分は、同じく2013年に菅田将暉が主演した『共喰い』(青山真治)くらい(違うベクトルで)テンションあがりました。


文化祭云々というイベントより、菅田将暉野村周平吉沢亮のしょーもないアホな会話が延々と続いたほうがおもしろかったなー。野村周平は『ちはやふる』の太一役より、断然こっちのヨシタケ役のがよい。できる子やったんや。『ちはやふる』ではぜんぜんわからんかった。今をトキメく吉沢亮もなかなかよかったです。


この映画、原作の漫画を知ってる人からはネット上だとボコボコに叩かれて評価悪いけど、菅田将暉が見たいという以上の映画ではあり(たとえば『海月姫』(2014)は"以上"の映画ではなく)、本編の1/3はかなりおもしろいです。 映画→漫画、という流れで漫画をすこし見てみたけど、正直映画の菅田将暉野村周平吉沢亮のほうがよいなー


菅田将暉を見て高畑充希を思い出さないけど、とと姉ちゃんのにやっと笑う表情の高畑充希を見て菅田将暉を思い出します。似てる。



男子高校生の日常(1) [ 山内泰延 ]
価格:514円(税込、送料無料)



共喰い【Blu-ray】 [ 菅田将暉 ]
価格:4374円(税込、送料無料)