地味な映画と地味な音楽が好き。
マノエル・デ・オリヴェイラ『世界の始まりへの旅』、
ビクトル・エリセ『マルメロの陽光』が好き。
文系家人と11歳と8歳の女の子2人、シャルトリューの男の子とひっそり暮らし中。


『素晴らしき日曜日』(黒澤明/1947/東宝)


素晴らしき日曜日<普及版> [DVD]

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うら若き中北千枝子がまんまるこけし顔で初々しい。成瀬巳喜男作品に脇役としてよく出演してるけど、主演で見たのは初。


戦後間もない昭和22年の東京は焼野原がそこかしこにある風景。雄造と昌子は貧しい恋人同士。手持ちのお金はたった35円の日曜日をどう過ごすかをドキュメンタリーのように撮った作品。ロケシーンはヌーヴェルヴァーグ風でなかなかすごい。ブランコシーンはのちの『生きる』にも繋がる良シーン。上がったり下がったりするブランコは人生そのもの。日比谷野外音楽堂でふたりの聞けなかった『未完成交響曲』が流れる中、突如画面の前にいる観客に向かって演劇調子で語りかけ盛り上げる終盤がいいなー。時代を考えると相当前衛的。