『もず』(渋谷実/1961/松竹)
小料理屋の女中すが子(淡島千景)のところに娘さち子(有馬稲子)が現れて十数年ぶりに再会。母と娘の愛憎劇が幕を開けます。しかしどろどろした陰湿な感じではなく、コミカルな部分も多いのでなかなか楽しめます。淡島千景当時37歳、有馬稲子当時29歳で母娘!淡島千景をはじめ乙羽信子に山田五十鈴、桜むつ子に清川虹子、芸達者の女優が集まって、姦しく辛辣な会話のレベルの高さは必見。こういう絶妙な掛け合いほんと好き。山田五十鈴の鬼ババアぶりもおもしろい。乙羽信子は『裸の島』と180度違うおもしろオバサン役。川津祐介も若いわー。テンポの早い悲劇の幕切れなんだけど、死ななくてもいいんじゃ?という最後は微妙な思いが残りました。女優陣の演技はかなりおもしろい映画です。そういえば淡島千景も有馬稲子も宝塚出身だねー