地味な映画と地味な音楽が好き。
マノエル・デ・オリヴェイラ『世界の始まりへの旅』、
ビクトル・エリセ『マルメロの陽光』が好き。
文系家人と11歳と8歳の女の子2人、シャルトリューの男の子とひっそり暮らし中。


『ヌーヴェルヴァーグ』(ジャン=リュック・ゴダール/1990/フランス、スイス)

はじめて見たのはたぶん10年くらい前。当時はさっぱり意味がわからない映画だったのにこうして何度か見ているのはわからないなりに何か面白かったのかもしれないと今になって思う。でも20歳前後の大学生くらいならまだしもそろそろ"雰囲気"や"色使い"で「ゴダール好き!」ていうのももうイタい。しかし何度見ても様々な文献や映画から自在に引用された言葉の数々は正直相変わらずわからないものが圧倒的。だけどそれぞれの粒子がコラージュされ再構築されていく一瞬、映像や音楽の束の間の享受はなんと魅力的。めずらしくサントラCDを持っているくらいこの作品の音楽は素晴らしく、さらにCDにおさめられているのは1時間半の映画のすべての音をそのまま丸ごとCD化というもの。スイス・レマン湖畔の邸宅。庭師の詩的な独り言。色彩を際立たせる光。すべて夏草の深い緑に浮かび上がり、秋の輝きと結びつくのは春が開花する前の冬の廃墟。過去と現在と同じ波を感じる。希望にあふれたラスト。

ヌーヴェルヴァーグ [DVD]

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ヌーヴェルヴァーグ 完全版

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