地味な映画と地味な音楽が好き。
マノエル・デ・オリヴェイラ『世界の始まりへの旅』、
ビクトル・エリセ『マルメロの陽光』が好き。
文系家人と11歳と8歳の女の子2人、シャルトリューの男の子とひっそり暮らし中。


『妻』(成瀬巳喜男/1953/東宝)

『晩菊』『浮雲『めし』と同じく林芙美子原作、子どものいない倦怠期の夫婦の話。相手の女を本当に好きか嫌いか分からない流されるがままの夫を上原謙『めし』と同じく優柔不断な夫といえば上原謙の公式。さびれた食堂の窓側で妻と愛人が対決するシーン、近くの高架で電車の通り過ぎる影が二人の顔をかすめる演出にしびれる。縁側の風景がとてもいい。最後まで修復されない夫婦の関係がなんともやるせない。