地味な映画と地味な音楽が好き。
マノエル・デ・オリヴェイラ『世界の始まりへの旅』、
ビクトル・エリセ『マルメロの陽光』が好き。
文系家人と11歳と8歳の女の子2人、シャルトリューの男の子とひっそり暮らし中。


わたしの身体のいちばんせまいところから

わたしにではいりする水なのだと

福田里香がいろんなところでヴィクトリアンメイド漫画『エマ』(森薫)を押すので思わず買ったらハマり中。装苑のメイド特集かわいかったし、シャネルもメイドだし、今からメイドになりたい(すぐこうなる)。

映画『アブラハム渓谷(Vale Abraao)』(マノエル・デ・オリヴェイラ/1993/ポルトガル、フランス、スイス)。フロベール『ボヴァリー夫人』を下地に現代を舞台にした作品。三時間余の長尺なのにオリヴェイラに対して文句の言えるショットはなく、人物を正面から据え、長い長い屋敷の外観をとらえたショット、すべて必要だと断言されている気がするオリヴェイラマジック。男の強さに対する女の弱さはしたたかさの裏返しでもあり、男の強さは時に滑稽だ。しかし意図しないしたたかさは破滅も招く。精神的肉体的に抑圧され耐えていたエマが花開いていく姿は単純ではない。あらゆる伏線や物語、ゆるやかに必然的にエマのもとに集まる大変な複雑さ。そしてその絡まりあった複雑さの上にある愛と死が美しいと思えるこれまたオリヴェイラマジック。マリアの「人生は美しい」という言葉は誰に対してだっただろうか。