地味な映画と地味な音楽が好き。
マノエル・デ・オリヴェイラ『世界の始まりへの旅』、
ビクトル・エリセ『マルメロの陽光』が好き。
文系家人と11歳と8歳の女の子2人、シャルトリューの男の子とひっそり暮らし中。


『萌の朱雀』(河瀬直美/1997)



『十月十日の進化論』を放映したのでプチ尾野真千子特集。下記の『魔女の宅急便』もおソノさん役で出ています。


萌の朱雀』は学生の頃見たきりで当時は当然尾野真千子を知らずにいたのでほぼ記憶なし。映画自体も奈良の山奥での話、としかぼんやりすぎるほどしか覚えておらず、『火垂』(2000)と同時期に見て『萌の朱雀』のほうが好みかなと思った記憶があります。


奈良の山奥にある過疎が進むちいさな村。朝の台所の風景や、居間の戸を開け放って見える紀伊の山々。複雑な家族構成のなかの大黒柱であった父の自殺により崩壊していく家族。ドキュメンタリーにも似た手法でひとつの家族を静かに撮り、距離感を持って静かに見つめます。泣ける。


ほとんどはじめて見る感じであらためて見たけど、これは好きだなー。このストーリーの不明瞭さや聞き取りづらい台詞含めて当時27歳の河瀬直美のスピリットはかなり好み。いまごろになって言うけど、27歳でこれはしびれる。さすがタルコフスキー好き(と当時公言していたような)。妻を演じていた神村泰代の顔が後半はベルイマンの映画に出てくる女性の顔とだぶって、これはこれで勝手に狙ってるやろという気分になって楽しくなります。