地味な映画と地味な音楽が好き。
マノエル・デ・オリヴェイラ『世界の始まりへの旅』、
ビクトル・エリセ『マルメロの陽光』が好き。
文系家人と11歳と8歳の女の子2人、シャルトリューの男の子とひっそり暮らし中。


シネ・ヌーヴォに『アンナと過ごした4日間(Cztery noce z Anna)』(イエジー・スコリモフスキ/2008/ポーランド、フランス)を観に行きました



アンナと過ごした4日間 [DVD]

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シネ・ヌーヴォで「スコリモフスキ'60年代傑作選&『アンナと過ごした4日間』アンコール」の上映をしてたので『アンナと過ごした4日間』を観に行きました。スコリモフスキてむかーし名古屋のシネマテークジャン=ピエール・レオの『出発』(1967)を見ただけだよなーと思って調べてたら、ポーランド出身なだけあってポランスキー『水の中のナイフ』(1962)の脚本とかも書いてたのね、知らんかった。


時間軸や男の性質がしばらくわかりません。寒々として寂しげな街並み。牛の死体が流れてくる川。台詞は極力少なく、不器用でこんな愛情表現しかできないひとりの中年男の悲喜劇。夜な夜なアンナの部屋に忍び込み、とれかけたボタンを付け直したり塗りかけのペディキュアを塗ってあげようとしたり、完全に変質行為なのに必死で気の弱い男を見ていると不思議に切なく哀しい話です。そして当然のことだけど、この愛は成就しません。この愛情表現がもしかしたら刑務所にいたときの男の頭のなかのしあわせな体験(もしくは悪い夢?)だったのかもしれないとも思わせる不完全さがなんともいえない余韻を醸し出しています。