地味な映画と地味な音楽が好き。
マノエル・デ・オリヴェイラ『世界の始まりへの旅』、
ビクトル・エリセ『マルメロの陽光』が好き。
文系家人と11歳と8歳の女の子2人、シャルトリューの男の子とひっそり暮らし中。


谷崎潤一郎『猫と庄造と二人のおんな』(新潮文庫)

猫と庄造と二人のおんな (新潮文庫)

猫と庄造と二人のおんな (新潮文庫)

id:theklfちゃんが取り上げているのを読んでおもしろそうだと思って読んでみました。谷崎といえば家人が持ってるに違いないと聞いてみるとやっぱり持ってて(家人の本はありすぎてどこにあるのか分からないのでいつも探してもらうのです)「なんでー?」と言われながら貸してもらいました。

一匹の猫を中心に、猫を溺愛している愚昧な男、猫に嫉妬し、追い出そうとする女、男への未練から猫を引取って男の心をつなぎとめようとする女の、三者三様の痴態を描く。人間の心に宿る“隷属”への希求を反時代的なヴィジョンとして語り続けた著者が、この作品では、その“隷属”が拒否され、人間が猫のために破滅してゆく姿をのびのびと捉え、ほとんど諷刺画に仕立て上げている。

延々と語られる男の心情、女の心情、こういう話を書かせると本当に上手。また上方言葉の登場人物たちがいいんだなー。

そうそう、この『猫と庄造と二人のおんな』て映画化されてるらしく、監督は豊田四郎、庄造=森繁久彌、福子=香川京子、品子=山田五十鈴、庄造の母おりん=浪花千栄子だと知ってものすごーーく見たい。放蕩息子をやらせたら右に出るものはない森繁久彌の庄造見たいなー香川京子山田五十鈴浪花千栄子もぴったんこ。