地味な映画と地味な音楽が好き。
マノエル・デ・オリヴェイラ『世界の始まりへの旅』、
ビクトル・エリセ『マルメロの陽光』が好き。
文系家人と11歳と8歳の女の子2人、シャルトリューの男の子とひっそり暮らし中。


『ルートヴィヒ(Ludwig)』(ルキノ・ヴィスコンティ/1972/イタリア、西ドイツ、フランス)

完全復元版の240分という大作。バイエルン国王ルードヴィヒ2世の18歳の即位から40歳で謎の溺死をするまでの生涯を描いたすばらしく壮大な作品。芸術を愛しワーグナーを愛しそのワーグナーに国費をむしり取られ同性愛に耽り国政には見向きもせず国家の存続を危うくし精神病と診断され退位に追い込まれるという国王役のヘルムート・バーガーが美しすぎる。俗物に描かれ続ける作曲家ワーグナーの音楽は人物とはうってかわって美しいという対比。ノイシュヴァンシュタイン城も撮影に使われた、ヴィスコンティにしか撮れないと思わせるありえないくらいの細部まで豪華絢爛で(庶民すぎて想像の域を超えないけど)完璧な王族貴族のセット。長くて重い240分が王の孤独をより一層引き立たせるような気がした。