地味な映画と地味な音楽が好き。
マノエル・デ・オリヴェイラ『世界の始まりへの旅』、
ビクトル・エリセ『マルメロの陽光』が好き。
文系家人と11歳と8歳の女の子2人、シャルトリューの男の子とひっそり暮らし中。


人体のうす暗がりのなかに揺らいでいる、

まだ顔も性もない拳大の暗紅色をしたもの。

アメ村タワーへ行く。3Fをうろうろ。いろいろ試聴してみるけれど面白いものが見当たらない。ジョン・フェイフィのライブ盤がいいなーと思ったけれど、新しい音を聞かねばとガマンして、一押しされていた FANFARE SAVALE『Speed Brass of the Gypsies』というジプシー音楽を買ってみる。ムーンフラワーズみたいなのを想像して。帰って聞いてみると意外と薄くてあまり良くなかった。もうちょっとガッツのある音が聞きたい。そういえばタワーのCDを眺めながら、HEADZ系のファン層というかターゲットはハタチ前後くらいなのかな、と思った。常に新しいファンを獲得してるかもしれないけれど常に誰かは抜け出して。その壁がハタチぐらいかなーて。あ、 試聴した解説:佐々木さんのパスカル・コムラードの『バック・トゥ・スキゾ:'75-'83』はダサかっこよかった。

映画『家宝(O Principio da Incerteza)』(マノエル・ド・オリヴェイラ/2003/ポルトガル、フランス)。家宝は自ら輝きを増す。美しいポルトの風景、ジャンヌ・ダルク像への祈り、ほとんど暗示のみで構成される言葉の数々に知らないうちに物語の糸に絡まっていく。人生はおとぎ話と同じ。勝者と敗者、光と影、生と死。従順で耐え忍ぶファム・ファタールの美貌。ラストのはにかむ姿に同性としてぞっとする。まったくの他者が存在することを想定しているオリヴェイラの物語の紡ぎ方はとても好みで面白い。