地味な映画と地味な音楽が好き。
マノエル・デ・オリヴェイラ『世界の始まりへの旅』、
ビクトル・エリセ『マルメロの陽光』が好き。
文系家人と11歳と8歳の女の子2人、シャルトリューの男の子とひっそり暮らし中。


宿命的な結果を忘れ、苦痛を、崩壊を、

graf のギャラリーで『リサ・ラーソンとスウェーデンの暮らし展』を見る。リサ・ラーソンのカップ&ソーサーや灰皿、ぽてっとした感じでいいなーと思った。リサのインタヴューをスクリーンで上映していたのだけど、スティグ・リンドバーグとの関係をはじめて知った。だいたいいつもそういう情報は知らないことのほうが多い。

展覧会自体は小さくかわいらしくまとめられていて良かったとは思うけどニコリともしないスタッフに「そのラグ安くてお買い得ですよ、12000円」て言う、そのふてぶてしさに驚いたのでちょっと無視。なんか graf のスタッフていまいちな人が接客係になってるような。もったいない気が。

とか思っていると隣にやってきた大学生くらいの男の子2人がそわそわしながら(ラグとは違う別の)スタッフに「あっ これ、graf のカタログなんですかっ?」と聞いていた。「そうなんです、やっとカタログ出来たんですよー。価格もなるべくおさえて・・・」「わーっ すごいっすね!安いっすね!うわぁ、買おうかなぁ……」このやりとりがなんかこう、ものすごい趣味じゃなくてうえーて感じになったのは別に graf どうのこうのじゃなくて対象物へのスタンスかなーとか、考えてたんだけどよく分からなくなってきた。

映画『ザ・ロイヤル・テネンバウムズ』(ウェス・アンダーソン/2001/アメリカ)。作風もテンポも目新しくない。

映画『ハッシュ!』(橋口亮輔/2001)。この気分の爽快さに自分でも驚く。朝子にも勝裕にも直也にもリアリティがあり素直に認めることができ、憧れさえ感じる。住む場所や仕事というレベルから何も固定されていないような生活と目的を見つけられずいつまでも子供のような大人であることに無自覚ではなく自覚があり意図的である気持ち悪さを感じる作品(たとえば『ざわざわ下北沢』)があるならば、『ハッシュ!』の浮遊感はデリケートでありながら強い。各々基盤があり意思があり、葛藤がある。それは主人公達が30過ぎくらいの年齢だということも関係あるのかもしれないけれど、訴えかけるような嫌味はなく、軽快で快感だ。