地味な映画と地味な音楽が好き。
マノエル・デ・オリヴェイラ『世界の始まりへの旅』、
ビクトル・エリセ『マルメロの陽光』が好き。
文系家人と11歳と8歳の女の子2人、シャルトリューの男の子とひっそり暮らし中。


自分自身の灰の中に窒息して、

破れた紙の皮膚から内臓をそうっとまわりに滲み出させながら。

楽しみだったさなえちゃんとの約束を台風のため泣く泣くキャンセル。しょんぼり。せっかく約束がある日に台風がこなくても。

映画『ユリシーズの瞳(To Vlemma Tou Odyssea)』(テオ・アンゲロプロス/1995/フランス、イタリア、ギリシャ)。アンゲロプロスは好きなんだけど177分という長尺のため、なかなか見なかった作品。正直3時間もなくてもいいような気もするし、なぜ英語なのか疑問。アンゲロプロスの映画は女性的だと思うのだけど、どうだろう(メカスが女性的だと思うのと同じように)。この作品は大好きな『旅芸人の記録』(1975/ギリシャ)ほどではないけれど、詩的に映るアンゲロプロス節はかなり好き。霧の中の見えない殺戮という悲劇に悲鳴をあげるシーンのハーヴェイ・カイテルはすごい。現実と幻想を行き来する主人公の妄想が入り込んでくる。後半の少々感情的なシーンはどうかと思うけれど、アンゲロプロスらしい映像に見入ってしまう。庭の隅のレモンの木のこと、月光の入る窓のことを話し、身体の印を見せよう、愛の印を。

映画『シンドバッド 虎の目大冒険(Sinbad and the Eye of the Tiger)』(監督 サム・ワナメイカー/特撮 レイ・ハリーハウゼン/1977/イギリス)。見ていてわくわくして楽しかった映画というのが久しぶりな気がした。技術とかそういうことよりも、たとえば『ピーターパン』(ハーバート・ブレノン/1924/アメリカ)のワイヤーが見えるピーターパンもそれはそれで問題ないように、レイ・ハリーハウゼンの特撮は私の中ではものすごく良かった。独特の猛獣の動きもすごく面白かった。レイ・ハリーハウゼンをいろいろ見てみようと思った作品。映画はすごく楽しいんだと素直に感じた。