地味な映画と地味な音楽が好き。
マノエル・デ・オリヴェイラ『世界の始まりへの旅』、
ビクトル・エリセ『マルメロの陽光』が好き。
文系家人と11歳と8歳の女の子2人、シャルトリューの男の子とひっそり暮らし中。


「腐る寸前が美味しい」

鈴木清順『ツィゴイネルワイゼン』(1980/シネマ・プラセット)。映画のことをよく書いているからか昔はちょこちょこツィゴイネルワイゼンの話をされたりしたけれど、じつは見逃し続けていて、今日やっと見た。内田百聞的不条理さは、映像とともに抜群だと思った。「おじさんこそ、生きてるって勘違いしているんじゃない」豊子の言葉。生きること、死ぬこと、性的なことが絡み合う官能の世界にくらくらする。何度も見たい映画は数少ない。けれどツィゴイネルワイゼンはまたいつか見たい。

カメラマン沢田教一の映画をちらりと見ただけだけれど、今が今だけにちょっと考えた。UPI通信東京支局のカメラマンとして採用され、サイゴンに自費で行き、ベトナム戦争の前線、至近距離でシャッターをきりベトナムで生き抜いた。プノンペン郊外で取材中、34歳の若さで銃撃され死亡した沢田教一の写真は誰にも撮れなかった沢田教一の写真。客観的でないその写真からのまなざしは多くの人を惹きつける魅力があった。ほんの一瞬の完璧な写真。本気の写真。戦争はやめてほしいと願う。