地味な映画と地味な音楽が好き。
マノエル・デ・オリヴェイラ『世界の始まりへの旅』、
ビクトル・エリセ『マルメロの陽光』ラヴ。
文系家人と10歳と6歳の女の子2人、シャルトリューの男の子とひっそり暮らし中。


『Ricky リッキー(Ricky)』(フランソワ・オゾン/2009/フランス、イタリア)


Ricky リッキー [DVD]

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翼の生えた赤ちゃんが誕生した家族が翻弄しながら絆を深めるという、一見ハートフルなドラマ。フランソワ・オゾンを知らないと最初から最後までなんじゃこりゃ的な映画なんだと思うけど、しっかりオゾンテイストになったこの家族ドラマ、不思議でおもしろく浄化。オゾン自身がダルデンヌ兄弟の『ロゼッタ』を引き合いに出してるように、そういう雰囲気を彷彿とさせます。


たびたび娘のリザの視点で描かれる情景が痛々しかったり胸がしめつけらたり、このリアル感がたまらない。バイクで迎えに来る母親を夜になってもじっと待っているリザ。頼れるのは母親だけ。突然の母親の恋人。リッキーを守ろうとする姉らしさ。微妙な心の距離の描き方がとても上手。そんな巧みな心理描写を映し出しながら、空をぱたぱたうれしそうに飛ぶ赤ちゃんリッキーの姿の愛らしくも可笑しさ。「翼の生えた赤ちゃん=エンジェル」というオチのに少々釈然としない想いが残ったりするのだけどやっぱりオゾンはおもしろくて好き。単なるファンタジーではなく母親の強さや弱さ、けれどとんでもなく大きな母性を描いています。