真梨幸子『殺人鬼フジコの衝動』
毎度のネコメンタリー真梨幸子の回。真梨幸子の猫・ブリティッシュショートヘアのマリモがうちの猫にそっくりだなーと思いつつ、真梨幸子がイヤミスの女王と呼ばれていることを知りました。イヤミスというジャンルを読んだことがなく、でも興味があってイヤな気分になるのをおそれつつ手を出してみました。
すごい、冒頭から相当に不快。そもそも小学生の姉妹が出てくる冒頭が我が家の姉妹とかぶってしまい、不快に拍車がかかります。虐待、暴力、ネグレクト、藤子が落ちていく様と負のスパイラル。不快なのにすごい勢いで読み進めてしまう小説としてのおもしろさ。読んだあとなぜか粛々と自分を見つめる気分になるなぞの読後感は小説最後の解説がたいへん上手でした。「リアル社会でも体感しうる負の感情を、距離を置き見直すことで、自らの黒い心を中和する」「毒を持って毒を制するのです」。
毒を持って毒を制する、まさに言い得て妙。続編も読んでみたいような読みたくないような(不快だから)、迷うなー