灰谷健次郎『太陽の子』
内容(「BOOK」データベースより)
ふうちゃんは、神戸生まれの女の子。おとうさんとおかあさんは沖縄出身で、神戸の下町で琉球料理の店「てだのふあ・おきなわ亭」を営んでいる。やさしい常連さんたちに囲まれて明るく育ったふうちゃんだが、六年生になった頃、おとうさんが心の病気で苦しむようになる。おとうさんの病気の原因は何なのか?ふうちゃんは、「沖縄と戦争」にその鍵があることに気づきはじめる…。戦争は本当に終わっているのだろうか。なぜおとうさんの心の中でだけ戦争は続くのか?今、日本人が本当に知らなくてはならないことがここにある。
『兎の眼』がよかったので続・灰谷健次郎。児童書の枠にはおさまらない、沖縄戦を根底に置いた、超ベビーな物語。アマゾンのレビューを見ていると、小学校高学年のときに読んで、大人になってまた読んでみました、なんてレビューが多々あって、なかなかみなさん社会派。昔の子どもはこんなヘビーな話を読み、そして物語に出てくる子どもたちも、これまたヘビーな環境下で、この生きる力と深い思考力に頭が下がります。たしかに小学生中学生で読むとたいへんな衝撃であろうと思います。
一生の多くを神戸で暮らした灰谷健次郎、『太陽の子』は全編関西弁で進みます。『兎の眼』も関西弁だけど、この関西リアル感はすばらしい。リズム感もすばらしい。
ふうちゃんもキヨシ君もときちゃんも梶山先生も、みんないい。