地味な映画と地味な音楽が好き。
マノエル・デ・オリヴェイラ『世界の始まりへの旅』、
ビクトル・エリセ『マルメロの陽光』が好き。
文系家人と11歳と8歳の女の子2人、シャルトリューの男の子とひっそり暮らし中。


『甘い罠(Merci pour le chocolat)』(クロード・シャブロル/2000/フランス)


原作タイトルが『見えない蜘蛛の巣』、映画の原題が『Merci pour le chocolat』。この2つのタイトルがキーワード。


有名なピアニスト・アンドレ(ジャック・デュトロン)の後妻であるチョコレート会社の社長・ミカ(イザベル・ユペール)、研究所の所長を務める母親の娘でありピアニストの卵・ジャンヌ(アナ・ムグラリス)。ジャンヌの出生の秘密話から派生するサスペンス。ココアをわざとこぼすミカを見て不審に思ったジャンヌによって、一家の秘密が次第に明らかに。コンクールの指導をするためにアンドレとジャンヌが繰り返し演奏する、リストの「葬送曲」が物語を包み込みます。


蜘蛛の巣の蜘蛛のように相手を仕留めるのはミカ。どこか影のあるミカが思い描く"しあわせ"は、ミカが守ろうとすればするほど絡み合って自分を追い詰めてしまいます。イザベル・ユペールの、顎を微妙に上げて見つめる何を考えているのか分からない顔がいい。絡み合った糸を完全にはほどかないラストはシャブロルらしくてたまらないです。


後で知った情報だけど、ミカ(イザベル・ユペール)がギヨームに渡したビデオはフリッツ・ラング扉の影の秘密』とジャン・ルノワール『十字路の夜』とのこと。わざわざこの2本をシャブロルが選んだということは、この映画と密接に内容が絡んでるということ。ルノワールは好きだけどこの作品は知らなかった。どちらも未見なので見てみたいなー。


こういう映画の広がり方って楽しくて大好き。


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