地味な映画と地味な音楽が好き。
マノエル・デ・オリヴェイラ『世界の始まりへの旅』、
ビクトル・エリセ『マルメロの陽光』が好き。
文系家人と11歳と8歳の女の子2人、シャルトリューの男の子とひっそり暮らし中。


『女優須磨子の恋』(溝口健二/1947/松竹)



松井須磨子―牡丹刷毛 (人間の記録 (48))

松井須磨子―牡丹刷毛 (人間の記録 (48))


島村抱月と舞台女優・松井須磨子の悲恋を描いた作品。女の目から見て、街角の女性たちから田中絹代が「あれが松井須磨子よ」「きれいね」と言われるのはかなり違和感。田中絹代てそういう美女役か?溝口健二はそりゃ好きだろうけど。溝口健二得意の長まわし多数だけど、なんというかたぶん他の作品がもっといいショットでもっと丁寧な内容であるがゆえに、溝口健二の作品としてはそれほど評価が高くないのかも。劇中劇である「人形の家」「復活」は意図的にか和風な田中絹代に金髪のカツラというちょっとおもしろショットなだけに、最後の「カルメン」はそれらすべてを払拭するすばらしい(だろうと思わせる)舞台。少し写るだけの劇中劇なのにすべてを見たいと思わせる完成度。


『白痴』の東山千栄子も相当意地が悪そうなオバサンだったけど、『女優須磨子の恋』の東山千栄子小津安二郎東京物語』を思い出すと、イメージが違って倒れそうです。みんな女優だわー。