『女優須磨子の恋』(溝口健二/1947/松竹)
- 作者: 松井須磨子
- 出版社/メーカー: 日本図書センター
- 発売日: 1997/12/25
- メディア: 単行本
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島村抱月と舞台女優・松井須磨子の悲恋を描いた作品。女の目から見て、街角の女性たちから田中絹代が「あれが松井須磨子よ」「きれいね」と言われるのはかなり違和感。田中絹代てそういう美女役か?溝口健二はそりゃ好きだろうけど。溝口健二得意の長まわし多数だけど、なんというかたぶん他の作品がもっといいショットでもっと丁寧な内容であるがゆえに、溝口健二の作品としてはそれほど評価が高くないのかも。劇中劇である「人形の家」「復活」は意図的にか和風な田中絹代に金髪のカツラというちょっとおもしろショットなだけに、最後の「カルメン」はそれらすべてを払拭するすばらしい(だろうと思わせる)舞台。少し写るだけの劇中劇なのにすべてを見たいと思わせる完成度。
『白痴』の東山千栄子も相当意地が悪そうなオバサンだったけど、『女優須磨子の恋』の東山千栄子も小津安二郎『東京物語』を思い出すと、イメージが違って倒れそうです。みんな女優だわー。