『プルミエール 私たちの出産(Le Premier Cri)』(ジル・ド・メストル/2007/フランス)
世界10ヵ国10人の妊婦の出産前後をとらえたドキュメンタリー。国も文化も違うため本当に十人十色なスタイルの産み方で、半分くらいは赤ちゃんが生まれ出てくるまさにその瞬間を無修正で映し出していることに少し驚きました。涙を流して苦しんでいまにも生まれそうだというシーンで何度も力が入り、ずるんと生まれてきて赤ちゃんが「おぎゃあ」と泣いた瞬間にはほっとして、まわりの人々から祝福される姿と立ち会う旦那さんがうれし泣きする姿にもらい泣き(妊婦さんが泣くより旦那さんが泣く姿のほうがもらい泣きするのはなぜだろう。ていうか産んだ直後に泣けるのは疲労した奥さんより旦那さんのほうか)、自分が出産していても出産シーンというのは慣れなくてドキドキするしこわいし「おぎゃあ」と元気に生まれた瞬間他人事なのにうれしくなります。生まれた直後に母子ともども四駆に乗って海辺に行くシーンでは生まれた直後にそんなでこぼこ道を車に乗せるなんて!とか、ナチュラリスト妊婦の医師不在の仲間内での公開出産、さらに医師でもない仲間内の女性によって引きずり出される胎盤とかありえなーい!とか、シベリアで生まれた赤ちゃんの暖をとるために何重にもぐるぐるに巻かれたおくるみのデカさ、退院後のヘリコプター移動にびっくりしたり、イルカのいるプールで産む水中出産とか、なんでもありな出産の様子が既成観念を打破してゆくのが心地よい映画です。病院の分娩台で産むのがすべてじゃないと分かっててもそれでもすごいシーン続出。妊婦さんとかこの映画みたら産むのがこわくなるんじゃないと思います。
日本の妊婦もひとり紹介されていて、クウネルにも紹介されていた有名な愛知県岡崎市の吉村医院で産む予定の女性。日本家屋で200年前の家事をしつつ妊婦同士で暮らして自然分娩する吉村医院。知ってはいたけど、赤ちゃんのへその緒を旦那さんと3歳の娘が手を取り合って切っていたのに驚きました。そういうこともさせてもらえるんだね。3歳くらいだと生々しくてもトラウマにならないのかなと余計なことも感じたけど……
- 作者: 吉村正,山田桂子
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ビバ自然分娩!ビバフリースタイル出産!という押しつけは感じるものの、この映画の良さはすべての赤ちゃんがのぞまれて祝福されて産まれてきているということかな。
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