地味な映画と地味な音楽が好き。
マノエル・デ・オリヴェイラ『世界の始まりへの旅』、
ビクトル・エリセ『マルメロの陽光』が好き。
文系家人と11歳と8歳の女の子2人、シャルトリューの男の子とひっそり暮らし中。


『緑の光線(Comédies et proverbs :Le Rayon vert)』(エリック・ロメール/1986/フランス)

エリック・ロメール‘喜劇と格言劇’シリーズ第5弾。独りぼっちの夏の休暇をなんとかしようとする女性をドキュメンタリーのように追う。フランス人の「ヴァカンスを楽しまなくちゃ」という強迫観念にも似た執着はこの映画を見ているとよく分かる。情緒不安定気味のデルフィーヌの存在感。ジュール・ベルヌの小説「緑の光線」で、光の屈折のせいで日没の瞬間に現れる緑の光線があるといい、その光が見えたものは自分の心と相手の心がはっきりとわかると話し合うおじいさんとおばあさんたちの会話が不思議に印象的。女性同士の会話に女性の心理を繊細に描きだしている、ロメールのこういう映画好き。