地味な映画と地味な音楽が好き。
マノエル・デ・オリヴェイラ『世界の始まりへの旅』、
ビクトル・エリセ『マルメロの陽光』が好き。
文系家人と11歳と8歳の女の子2人、シャルトリューの男の子とひっそり暮らし中。


『夜顔(Belle toujours)』(マノエル・ド・オリヴェイラ/2006/ポルトガル、フランス)

家人がお休みの日。行っておいでと言ってくれたのでテアトル梅田のモーニングショー、オリヴェイラの『夜顔』を見に行く。超うれしい。ありがとう。育児疲れのリフレッシュ。しかも今日は水曜日。女性サービスデー1000円の日。

ルイス・ブニュエル監督、カトリーヌ・ドヌーブ主演『昼顔』の38年後の設定。何も語らないのに表情ですべてをみせるミシェル・ピコリがうますぎ。重要な再会のシーンではふたりの台詞は聞こえない。薄暗いロウソクに灯された部屋での、オリヴェイラの美しすぎる官能的な晩餐の様子。食事の音。箱の中の虫の羽音。ニワトリ。『昼顔』に敬意を払い決して世界を壊すことなく大人の心理描写で『夜顔』を撮ったオリヴェイラ。10歩くらい先をゆくすべての台詞にくらくら。「女という存在は自然が生んだ、最大の謎だ」オリヴェイラはいつまでも現役だと思わせる台詞。パリの風景が出てくるすべての映画を圧巻するパリの風景にうっとりする。