『少女ムシェット(Mouchette)』(ロベール・ブレッソン/1967/フランス)
アルコール依存で働く気のない父と寝たきりの母、そして赤ん坊の妹と暮らす14歳の少女ムシェット。父親の暴力と貧困生活に加え、普通に暮らす普通の同級生からも孤立し、14歳の幼い少女自身の肉体さえ奪われる。ムシェットの目が常に疑心に満ちているのは周りにあるのは孤独と絶望だけだから。「私、アルセーヌの愛人なの」という言葉に胸が苦しくなる。彼女に救いは?移動遊園地で束の間楽しんだその笑顔が印象的なだけに、ムシェットの選んだ道は心に響く。ストーリーもカメラも誰もムシェット自身について説明や憐れみはなく厳格に純粋に淡々と少女を映し出すブレッソン。『バルタザールどこへ行く』 (1964)と同種の悲しみを感じる。ブレッソンの映画はものすごく好き。
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