地味な映画と地味な音楽が好き。
マノエル・デ・オリヴェイラ『世界の始まりへの旅』、
ビクトル・エリセ『マルメロの陽光』が好き。
文系家人と11歳と8歳の女の子2人、シャルトリューの男の子とひっそり暮らし中。


『都会のアリス(Alice in Den Stadten)』(ヴィム・ヴェンダース/1974/ドイツ)

この映画は私にしてはめずらしく3回くらいは見ていて今日もなんとなく見ていたらやっぱり相当良くてかなり好きな作品だと思った。CANの音楽もとてもいい。以下はたぶんはじめて見たときの感想。

"ロード・ムービー三部作"と呼ばれる第一作。CANの音楽が自己喪失した主人公によく似合う。物語は決して終わらなくてもいい。何かの終わりは何かの始まり。何か確実なものを見つけなくてもいい。発見は原因をつきとめることにはならない。わがままで少し背伸びしているアリスに翻弄されながら作家フィリップは思いもよらぬ旅を続ける。意図的であれ作為的であれ、現実を受け入れること・受け入れない(られない)という葛藤の押し付けを感じないヴェンダースの良さ。空港から飛び立つ飛行機。ジョン・フォードの死を報じる新聞記事。ラストの風景。シンプルな映像。いつまでも夢が続くようにと祈る。

都会のアリス [DVD]

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