地味な映画と地味な音楽が好き。
マノエル・デ・オリヴェイラ『世界の始まりへの旅』、
ビクトル・エリセ『マルメロの陽光』が好き。
文系家人と11歳と8歳の女の子2人、シャルトリューの男の子とひっそり暮らし中。


『雨月物語』(溝口健二/1953/大映京都)

上田秋成原作「雨月物語」の中の"浅茅ヶ宿"と"蛇性の婬"の2編を題材にした小説の映画化。戦国時代を舞台に、人間の様々な欲を庶民に投影して描く。琵琶湖畔から船を漕ぎ出すシーン、源十郎が初めて訪れた時の朽木屋敷の様子、その女主人若狭、とても幻想的で美しく魅惑的。全体を覆う霊的な御伽噺の雰囲気。特に朽木屋敷はセットとは思えないくらいのリアルなお屋敷のセットは見とれてしまうほど圧巻。一瞬の魔力に誘惑された代償の大きさは失くしてみて初めて分かるという皮肉。ラストが泣ける。