地味な映画と地味な音楽が好き。
マノエル・デ・オリヴェイラ『世界の始まりへの旅』、
ビクトル・エリセ『マルメロの陽光』が好き。
文系家人と11歳と8歳の女の子2人、シャルトリューの男の子とひっそり暮らし中。


動かない姿、悲しそうな美しいまなざし


土日で家人と岡山県の湯郷温泉へ。大阪・中之島にある graf がデザインしたカフェを併設する旅館で、なかなかきれいなところ。カフェは正直そのまま graf のショールーム状態。

この旅館に行く前に行ったのは奈義町現代美術館。通称 Nagi MOCA(ナギ・モカ)。平成6年に開館した磯崎新設計の美術館。荒川修作+マドリン・ギンズ、岡崎和郎、宮脇愛子の巨大作品を展示してあるのだけど、作品と建築が融合していて、なんかこう、外観からしてわくわくした。太陽、月、大地と名付けられた展示室はそれぞれ本当に面白いのだけど、宮脇愛子のステンレスのワイヤーの弧の連なりも美しかったし、岡崎和郎の月の形をした反響の部屋も鈴木昭男を思い出したりして楽しかったけど、とりわけヘンでやりすぎ感の漂う荒川修作+マドリン・ギンズの「"太陽"の部屋 ≪遍在の場・奈義の龍安寺・建築的身体≫」は左右に京都・龍安寺の石庭があり、上下には曲面のベンチや斜めに置かれたシーソーや鉄棒があったりする円筒の部屋がすごかった。たまたま見ていたときに私たちしかいなくて遊び倒してはしゃいで満喫。平衡感覚のなくなる不思議な感じ。理屈抜きで楽しかった。奈義町現代美術館はすごい。併設されている図書館の壁面の本に天窓から差し込む光がなんともいい感じだった。

ところで同じく奈義町現代美術館に併設されているレストラン、"喫茶モカ"も磯崎新設計らしいのだけど、たしかにそんな感じのするデザインだったけれど、レストランで働く地元のおばちゃんたちか観光案内所の人たちのアイディアかわからないけれど、古めのブラウン管のテレビが置いてあったり、机の上には椿のような花が飾られていて、決して、うーん、悪いことではないけれど、磯崎さんの意図と違うんだろうなあ、ちょっともったいないよなあと思ったりしながらエビピラフを食べていた。



旅館でおいしいお料理をたらふく食べて、温泉につかって、きれいな紅葉も見られたし、いい休日だったな。