地味な映画と地味な音楽が好き。
マノエル・デ・オリヴェイラ『世界の始まりへの旅』、
ビクトル・エリセ『マルメロの陽光』ラヴ。
文系家人と10歳と6歳の女の子2人、シャルトリューの男の子とひっそり暮らし中。


『全身小説家』(原一男/1994)


小説家井上光晴の最期の5年間を追ったドキュメンタリー。137分というわりと長尺な作品。原一男に惹かれて観たものの、井上光晴の小説を読んだことがなく井上光晴という人物をはじめて知りました。なかなかのインパクト。本が積み上げられダイニングテーブルには本だのソースだのごたごたに置かれてそこで食事する風景は虚構をまとった井上光晴のリアルでおもしろかったです。坂口安吾の汚部屋ほどではなくても、ハイレッド・センターの高松次郎のドキュメンタリーで高松次郎の自宅を見たときくらいの衝撃がありました。しかし井上光晴モテるわーコアな文学系男子のモテ。島田雅彦が「ワンランク上のモテは女が自分から身をひいていく」と言ってたけど、そんな言葉を思い出したくらい死ぬまでモテたひとです。おじいちゃんなのに元カノだらけの「井上光晴を囲む飲み会」開催されすぎ。


文学の講義をする様子、埴谷雄高瀬戸内寂聴の証言や交友している映像、自分史の虚構があきらかにされ、現実の自分をもフィクションを作り上げていた事実。癌の手術でお腹を裂く手術がモロすぎて、こんな映像よく撮れたなーと感心。井上光晴のお葬式で瀬戸内寂聴が「セックス抜きでの友情云々」と涙ながらに話すのにたまげました。お葬式でも寂聴節。