地味な映画と地味な音楽が好き。
マノエル・デ・オリヴェイラ『世界の始まりへの旅』、
ビクトル・エリセ『マルメロの陽光』が好き。
文系家人と11歳と8歳の女の子2人、シャルトリューの男の子とひっそり暮らし中。


『母の身終い(Quelques heures de printemps)』(ステファヌ・ブリゼ/2012/フランス)


脳腫瘍に冒され余命わずかだと宣告された老いた母がみずから選択した尊厳死。この映画で描かれる尊厳死とは治療を行わず自然に訪れる死、ではなく、医者から処方された薬を飲んで静かに息を引き取る、どちらかというと自殺幇助。登場するのはスイスの施設。スイスでは尊厳死は合法なんだそうです。


若い女の子ではなく、老いた母の選択と苦悩という点で非常に泣ける。きれい好きで料理もして隣人に手作りのパウンドケーキをふるまい、毎日を丁寧に淡々と過ごす母。淡々としながらも根底にある心情が伝わってくるリアルな演技。思いがけずいい作品でした。