地味な映画と地味な音楽が好き。
マノエル・デ・オリヴェイラ『世界の始まりへの旅』、
ビクトル・エリセ『マルメロの陽光』が好き。
文系家人と11歳と8歳の女の子2人、シャルトリューの男の子とひっそり暮らし中。


『ぼんち』(市川崑/1960)


市川崑は『細雪』(1983)のイメージが絶大で(犬神家とかよりも)『鍵』(1959)とかこういうテイストの映画は見る前から期待。原作山崎豊子、撮影は宮川一夫、ぼんちには市川雷蔵で、落語家春団子に中村雁治郎、脇を固める女優陣は若尾文子山田五十鈴京マチ子、おもしろくないわけがないよねという、こういうわくわく感だいすき。


大阪船場の足袋問屋のぼんち喜久治(市川雷蔵)の激動の昭和を生き抜く半生記。船場のしきたりに女たちのしたたかさ。大阪出身で船場言葉を話す市川雷蔵いいなー若い頃の森繁久彌がダントツにだいすきだけど、また違うベクトルで市川雷蔵がいい。ちょくちょく市川雷蔵の映画を見てると、雷蔵祭が定期的に開催されるのがよくわかる。若尾文子もなんというキュートさ。山田五十鈴京マチ子もこの芸達者ぶり。宮川一夫の撮る屋根瓦の美しさにマイッタ。


ひとつ、喜久治の祖母きのが敷居をわざわざ踏んで部屋に入るシーンがあるんだけど、あれがどういう意味なのか分からなかったのが心残り。