地味な映画と地味な音楽が好き。
マノエル・デ・オリヴェイラ『世界の始まりへの旅』、
ビクトル・エリセ『マルメロの陽光』ラヴ。
文系家人と10歳と6歳の女の子2人、シャルトリューの男の子とひっそり暮らし中。


『ブンミおじさんの森(Uncle Boonmee Who Can Recall His Past Lives)』(アピチャッポン・ウィーラセタクン/2010/イギリス、タイ、フランス、ドイツ、スペイン)


ブンミおじさんの森 スペシャル・エディション [DVD]

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カンヌでパルムドールを受賞した作品。ほのぼのとしたタイトルからは想像しにくい、仏教観や政治や文化的要素をファンタジーで昇華した映画。ティム・バートンも絶賛し、蓮實重彦蓮實重彦2010年度ベスト10のひとつに挙げた作品なだけあってこの映画の分かりにくさはなかなか。


見終わってしばらくして思うのは冒頭の薄暗い森の中をさまよう水牛がすべてのキーワードになっていたのかな、ということ。幽霊やサルの精霊となった息子と普通に食卓で会話したり、ジェンの前世であるかのような王女が水面に写る自分の若く美しい姿を見て嫉妬し滝壺に住むナマズとセックスしたり、さらにはブンミが死を迎えるのも森の中。つまり森では夢や死や現実の世界が混同しています。その対比として描かれるジェンの都会的な生活感。あらゆるものが森に包まれ同化することを摩訶不思議な演出、多数ある長回しで表現しています。


しかしジェンと僧侶という職業をドライにとらえる息子とふたりで買い物にでかけるラストはショックと言っても過言ではないほど衝撃的で悩むシーン。肉体と意識のズレ?どう解釈していいのかずっと私のなかでもやもやしてます。


意表をつかれるという点ではかなりおもしろい映画だと思います。