地味な映画と地味な音楽が好き。
マノエル・デ・オリヴェイラ『世界の始まりへの旅』、
ビクトル・エリセ『マルメロの陽光』ラヴ。
文系家人と10歳と6歳の女の子2人、シャルトリューの男の子とひっそり暮らし中。


『4月の涙(KASKY)』(アク・ロウヒミエス/2009/フィンランド、ドイツ、ギリシャ)



1918年、内戦中のフィンランドが舞台。白衛軍の勝利は色濃く、市民兵中心の赤衛軍の女性部隊は捕らえられ白衛軍の兵士たちに強姦された上釈放と見せかけ逃げるところを銃殺。そこでたったひとり生き延びた女性リーダーと真摯な対応を取れる白衛軍准士官との悲恋物語。この設定だけで終わらないのが、この作品のいいところ。裁判をするために裁判所でエーミル判事と出会うのだけど、このエーミル判事がおかしい。捕虜の処刑を続けていくうちに精神的にキてることやかつての文豪知識人の孤独や性癖が徐々に明らかになっていきます。


原題の「kasky」はフィンランド語で"命令""掟"と意味するそうで、この男女と判事の関係性はまさにその言葉を意味しています(邦題がいまいちすぎる……)。内戦という同胞を殺戮する悲惨さや容赦ない暴力、男も女も信念を貫こうとしていることを描き、なおかつラストで救いがあり、過剰に盛り上げたりすることもなく淡々と描いたことで伝わるものがある案外深い作品。