地味な映画と地味な音楽が好き。
マノエル・デ・オリヴェイラ『世界の始まりへの旅』、
ビクトル・エリセ『マルメロの陽光』ラヴ。
文系家人と10歳と6歳の女の子2人、シャルトリューの男の子とひっそり暮らし中。


『兄とその妹』(島津保次郎/1939)



昭和14年を舞台にした戦前の良質なホームドラマ。たぶん小津安二郎が島津保次郎の作品を模しているんだけど、『麦秋』を彷彿とさせるシーンが各所にありました(年代的に逆だけど)。まんまなのは兄嫁・三宅邦子に銀座で買ったアイスクリームをお土産で渡すシーン。桑野通子を原節子に置き換えて、アイスクリームでなくてケーキを買ってくる(しかも兄嫁はやっぱり三宅邦子)シーンが『麦秋』にあります。おもしろいわー。タイトルには兄と妹しかないけど、佐分利信の妻である三宅邦子をあわせた3人の距離感がとてもすてき。長火鉢の前で紅茶にトーストという朝食だったり、銀座で買ってきたアイスクリームのお土産はドライアイス付だったり当時の意外と西洋色の強い食文化や、当時の日本家屋や東京の風景なんかを見れるのも楽しい。桑野通子は才女でモダンで愛嬌のあるかわいい妹で、三宅邦子はいつもの芯のある家庭的な女性で、佐分利信がときどき見せる妻と妹へのやさしさ。ピクニックのロケもモンタージュ映像も戦前だと思うと革新的。戦前にこんなすてきなホームドラマが存在することに驚きます。


戦前の日本映画のレベルの高さはすごいよ。