『世界(The World)』(ジャ・ジャンクー/2004/日本、フランス、中国)
ジャ・ジャンクーは『一瞬の夢』(1997/中国、香港)でなんだかすごく不思議に強烈に印象的で、『長江哀歌』(2006/中国)で映画としてすごく良くて、別の作品も見たいと思いつつやっと3作品目。世界の名所を1/10サイズで見られる、北京に実在するテーマパーク「世界公園」で働く若者を中心にした人間模様。近代化しつつある北京と漠然と不安定な若者たち。ちいさな自分のまわりの世界と、それをとりまく大きな世界。きらびやかな世界で仕事をしつつ感じる閉塞感、ふわふわした現実感、希望と絶望、感情の起伏や一瞬を丁寧に切り取り、長回しもこういう演出もジャ・ジャンクーだなーなんてうれしくなりながら観賞。ジャ・ジャンクーほど現代中国の描写が上手な監督はいないのではと本気で思う。主人公タオが余貴美子に似ているのが気になる。正直『長江哀歌』に較べるとちょっと迫るものが薄かったけど背景の違いがそうさせるのかも。
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