地味な映画と地味な音楽が好き。
マノエル・デ・オリヴェイラ『世界の始まりへの旅』、
ビクトル・エリセ『マルメロの陽光』が好き。
文系家人と11歳と8歳の女の子2人、シャルトリューの男の子とひっそり暮らし中。


近藤ようこ『見晴らしガ丘にて』(文庫)

やまだ紫に続く1980年代の良漫画。たまたまやまだ紫つながりで読んでみようと思ったので、近藤ようこもいい!という満足感だったけど、順番が逆なら近藤ようこに衝撃だったかもしれないと思います。見晴らしガ丘に住む様々なでも平凡な人々の日常の一コマがそれぞれ単独のお話になってるんだけど、どれも深くて面白かったです。「間」がいいというのか余韻の残る話ばかり。なるべくそっとしておいてほしいような人間を主役にもってくるあたりも好きです。「プレゼント」というお話は、しがない女教師が主人公。"出口のない感情がある""吐き気のような孤独がある"。自分のためにリボンをつけてもらって買ったクマのぬいぐるみ。「欲しかったんだ……こういうの」包装してもらったリボンを自分の頭につけ、ぬいぐるみと一緒に布団に入ります。主人公の台詞が、たった数ページの短編漫画なのに人生や欲望や愛や諦めといったすべてを包括していてドカンと胸にきました。

リンク先は復刊版。ちくま文庫版とは何か違うのかな。

見晴らしガ丘にて完全版

見晴らしガ丘にて完全版