地味な映画と地味な音楽が好き。
マノエル・デ・オリヴェイラ『世界の始まりへの旅』、
ビクトル・エリセ『マルメロの陽光』が好き。
文系家人と11歳と8歳の女の子2人、シャルトリューの男の子とひっそり暮らし中。


『風の中の子供』(清水宏/1937/松竹大船)

子供を画面に捉えたときのローアングルのカメラは小津安二郎のように感じました。あと小津安二郎もやってる、玄関の門や戸枠を画面に入れて枠が入るなかで人物を動かす撮り方は大好き。話の中心となる素朴で心優しい兄弟がたまりません。笠智衆が警官役で登場していたらしいのだけど見てる最中はわかりませんでした。預けられた叔父さんの家から戻ってきてしまったやんちゃな弟・三平が困ってる母親に向かって「ボク叔父さんのうちに行ったほうがいい?行かないほうがいい?」と聞いた後、「……ボクやっぱり叔父さんのうち行くね……」という健気な台詞、弟が叔父さんの家に預けられたあと兄・善太がひとりでかくれんぼするシーンに涙しそうになります。子供たちが夏休みにちょっとだけ成長したこと、家族に平和が戻ったこと。平和な日常のなかのちょっとした事件、というスタンスの映画が好きなのと(小津安二郎清水宏よりだいぶささやかな事件)、監督の清水宏は子供が好きだったことがよく分かる作品で、こんな映画いまはないよねーと思いながら見てました。いい映画です。


風の中の子供 [DVD]

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単純な人生を美しくシンプルに描こうとする小津安二郎は大人目線で女性的、単純な人生のなかの事件をクローズアップして描く清水宏は少年ぽくて男性的、ということかなー。小津みたいな側面はあるのに小津にはない男っぽさがある理由をいろいろ考えました。同じ時代を同じ松竹で過ごした親友同士でこうも作風が違ってオリジナリティがあるってすごい。こういうこと考えてる時間て妄想が広がってたのしいなー。