地味な映画と地味な音楽が好き。
マノエル・デ・オリヴェイラ『世界の始まりへの旅』、
ビクトル・エリセ『マルメロの陽光』が好き。
文系家人と11歳と8歳の女の子2人、シャルトリューの男の子とひっそり暮らし中。


『浪華悲歌』(溝口健二/1936/松竹)

山田五十鈴演じるアヤ子のお金に振り回され男にも不遇な悲しい人生。いったん落ちても引き上げる典型的なタイプの物語ではなく、守りたいものを守ろうとする自分の想いとは裏腹に身内を含めたダメな男たちに不幸にされ、不遇はさらなる不遇を呼ぶ、落としてからさらに落とすリアリズム。冷たい視線は溝口ぽいけどこの当時の溝口はまだ物語にそれほど緻密さはない気がする。山田五十鈴の和装洋装を見ていて、当時の和装は髷も結うまさに「和装」、洋装も気品ある映画女優のようなモダンガールらしい「洋装」で、それぞれ面白い。大阪を舞台にしているため関西弁や町並み、そごうで化粧品売り場を見たり文楽を観る場面(演目は『野崎村』だそう)を見ながら、ここはあのあたりかな、と推測して見るのも楽しい。


浪華悲歌 [DVD]

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