地味な映画と地味な音楽が好き。
マノエル・デ・オリヴェイラ『世界の始まりへの旅』、
ビクトル・エリセ『マルメロの陽光』が好き。
文系家人と11歳と8歳の女の子2人、シャルトリューの男の子とひっそり暮らし中。


『叫びとささやき(Viskningar Och Rop)』(イングマール・ベルイマン/1972/スウェーデン)

くすんだ朱の色が沈黙と恐怖を最大限に活かす。顔面蒼白、末期がんの次女の断末魔の叫び。時計の音、かすれた呼吸。淡々としたクローズアップが恐ろしいほどの緊張感を生み、そこから湧き出る恐怖が壮絶で悲痛で目をそむけたくなるほど圧倒的。スヴェン・ニクヴィストの撮影とベルイマンのタッグは最強と思える。「"叫び"も"ささやき"もかくして沈黙に帰する」。これ以上もこれ以下もない、他者を寄せ付けないすごすぎる孤高の映画。

神の存在?過去と未来?マリアの意味?なぜ涙が出るのか。分からないことも多い。5年後に見ても10年後に見ても圧倒される作品だと思う。


叫びとささやき [DVD]

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