地味な映画と地味な音楽が好き。
マノエル・デ・オリヴェイラ『世界の始まりへの旅』、
ビクトル・エリセ『マルメロの陽光』が好き。
文系家人と11歳と8歳の女の子2人、シャルトリューの男の子とひっそり暮らし中。


『近松物語』(溝口健二/1954/大映京都)

近松門左衛門の姦通事件の浄瑠璃「大経師昔暦」の映画化。足を痛めたおさんが逃げる茂兵衛を泣き叫びつまづきながら追いかけ抱き合う迫真の演技に鳥肌を覚えるほど感動。すごい。同様にふたりが引き離される場面の体当たりの悲痛な叫びにもぐっとこみ上げるものがある。『雨月物語』と同じく宮川一夫のカメラは冴えわたり、尺八や拍子木を使った早坂文雄の音楽がすばらしい。香川京子の美しさも目を引くけれど、長谷川一夫がよい。