地味な映画と地味な音楽が好き。
マノエル・デ・オリヴェイラ『世界の始まりへの旅』、
ビクトル・エリセ『マルメロの陽光』が好き。
文系家人と11歳と8歳の女の子2人、シャルトリューの男の子とひっそり暮らし中。


青いソフトにふる雪は 過ぎしその手か、ささやきか、


酒か、薄荷か、いつのまに 消ゆる涙か、なつかしや。

家人が昨日唐突に「明日はパンつくる!」宣言をして、今朝起きたらほんとにパンを作ってた。家人のファーストパンつくり。パンを作る家人を激写。もともと料理もできるし器用なのでとっても上手。私が作るパンよりずっと美味しくて見た目もきれい。おつかれさま。

映画『西陣の姉妹』(吉村公三郎/1952/大映)。監督をよく知らなくても脚本・新藤兼人、撮影・宮川一夫、キャストに田中絹代宇野重吉というだけでわくわくする。芸者染香役の田中絹代はもちろんきれいだけれど、次女久子役の宮城野由美子がとても美しかった。時代が移り変わり行く中、京都・西陣織の織元の衰退、離散してゆく様子を描く。老いた妻と、亡くなった主人が囲っていた芸者とのお互いすべてを受け入れたやりとりは達観した女の境地。妻と愛人の関係としてこれほど思いやりのあるすばらしい関係はない。残った敷石をはがす職人たちと、満開の桜の明暗コントラストの中で家をあとにする宮城野由美子の姿が印象的。ロケは西陣界隈で行われ、当時の様子が垣間見れるようで楽しい。宇野重吉が日本刀を持って高利貸しを追いかけるシーンの撮影は西陣のどのあたりなんだろう。

この時代の京言葉を聞いていると、昔の大阪・船場言葉に近いような気がした。ていうと怒られるかもしれないけれど、上品で気品があって私はどちらも好き。いまどきの関西弁は面白いけれど、きれいな言葉もよろしおすなあ。